タイプ別クライミング中毒診断
10問に答えると、あなたのクライミング中毒タイプが分かります。
承認欲求系ジム村神

――「誰か見ててくれないと、ムーブ出ない」
診断結果:
君が登っているのは、壁じゃない。他人の目だ。
すべての一手は“映え”のためにある。ホールドの持ち方、トップアウトの笑顔、動画に残るスタート前の深呼吸。登る前にカメラを回す。登った後はストーリーを回す。君の登攀にはいつも第三者の視線が必要だ。
ジムでは常連と笑顔で挨拶を交わすが、岩場では喋る相手がいない。なぜなら“自分をタグ付けしてくれる誰か”がいないから。
本当はわかっているんだろう?
タグをつけたV6より、誰にも見られないV8のほうが価値があることを。
だけど、数字よりも「イイネ」の通知音のほうが、君の脳には刺さるのだ。
そのムーブ、誰かが観ていないと成立しないなら、完登とは呼ばない。
中毒度:★★★★☆(重症だが回復は可能)
処方箋:
たまには電波の届かない岩場に行け。スマホのバッテリーを切って登ったムーブが、
君の本当のスタイルだ。
グレード至上主義者

――「V何かでしか自己評価できない」
診断結果テキスト:
課題の魅力?ムーブの美しさ?
そんな曖昧なものでは、自分の価値を測れない。数字こそが救い。
常に「Vいくつ?」と聞かれる前提で記録を取り、毎セッションが自己証明の場になる。トポの中にあるのは、“登りたい課題”ではなく、“登れたら言いたい数字”。
だが、皮肉なことに君はV8で3年止まっている。
核心のムーブは記憶しているのに、完登の日付は空欄のまま。
今日も「これはV10はあるでしょ?」と周囲に聞こえるように呟き、登れなかったことをごまかす。
仲間がV7を喜んでいると、口角がほんの少し下がる。数字以外の登りに、共感できなくなってしまった。
君はもう、登っていない。評価される“値”を追っているだけだ。
中毒度:★★★★★(慢性化)
処方箋:
一度、グレードが伏せられた課題だけを登ってみろ。
数字がない登りに、本当の“強さ”は宿る。
スタイル原理主義者

――「完登より美学」
診断結果テキスト:
自分にしかわからない“美学”のために、わざわざ悪いムーブを選ぶ。
遠回りをしてでも自分の登り方で登ることにこだわる。
完登の記録よりも、完登に至る過程。登れなくてもいい。理想のムーブが決まった瞬間だけが報酬だ。
何回落ちても同じムーブを繰り返す。仲間にアドバイスされても無視。マットの枚数、置き方、気温、初登時のスタイルにまで拘る。
「それ、ちょっと違うんだよね」
――誰も気にしてないのに、君の中だけにある“正解”に囚われている。
すべては君自身の“存在証明”のための登攀。
それは美しい。でも、誰にも理解されないまま、孤独に美を追い続けることでもある。
中毒度:★★★★★(自傷と表現の狭間)
処方箋:
スタイルの押し付け厳禁。何も考えずに登ってみろ。正しさより、楽しさがある登りが、君を救うこともある。でも君こそ真の”クライマー“だ。
カフェクライマー

――「ジム→ストーリー→タコス」
診断結果テキスト:
登るのは、クライミングじゃない。クライミングという世界観だ。
週に1回だけの登り。だけどギアは最新。ボルダリングに来てるというより、“ボルダリングに来た私”になっている。
ジムのあとには、カフェで写真を撮る。
登った時間よりも、写真を選ぶ時間の方が長い。
ウェアは映える色で統一。チョークバッグもブランドで揃える。
「登ること」が目的ではなく、
“登ってる感じ”こそが君の中毒物質。
本気トライの姿勢を笑うように見てるけど、
本当は少し、羨ましくもあるんだろう?
中毒度:★★☆☆☆(軽度だが定着)
処方箋:
一度だけでいい。指皮を失うほど本気で登ってみろ。
その日だけは、ストーリーの投稿を忘れてもいいはずだ。
現実逃避の巡礼者

――「岩場にいれば、すべては無かったことになる」
診断結果テキスト:
気づけば山奥。スマホの圏外。
日焼けと粉でごまかした、生活の荒みと現実の逃亡。
天気予報アプリが君の神託。予定は「雨・レスト・本気日」の三種類。
社会との接続は、登れる岩の状態によって途切れる。
人間関係?仕事?恋愛?
すべて“岩場にいる間は”存在しない。
その一手、その一登が、君に“存在している意味”を与えてくれる。
でも帰り道、誰もいない高速を走りながら、ふと泣きたくなる時がある。
中毒度:★★★★★(帰還困難)
処方箋:
たまには家族や友人に連絡しよう。孤独な完登より、下手なセッションの方が人間に戻れる。
コンペ廃人

――「勝てない。でも出たい。でも病んでる」
診断結果テキスト:
君のカレンダーには、いつもエントリーと敗退の記録。
勝てないことは分かっている。でも出場しないと、自分の位置が分からない。
競技ではなく自己肯定感のための戦場になってしまったコンペ。
結果が出れば一瞬だけ満たされ、出なければ自己嫌悪。
勝っても誰かが“出てなかったから”と心の中で言う。負ければ「言い訳が通じない」苦しさだけが残る。
ジムでは誰より強いのに、なぜか予選落ち。
その理由を毎晩、天井を見ながら考えている。
中毒度:★★★★☆(反復性うつ型)
処方箋:
勝ちたいならまず、“負けても平気”な登りを見つけろ。
それができた時、君の登りは本当に自由になる。
破壊系アーティスト

――「登るたび、なにかが壊れる」
診断結果テキスト:
「休め」と言われるほど登りたくなる。
痛みがある方が、本気が出る。
それは創作の苦しみか、ただの依存症か。
テーピングで指がミイラ。肘は慢性痛。靭帯は2本目。
けれどジムに着くと、痛みは消えたように思える。
それは「効いてる」んじゃない。ただ、脳が逃げてるだけだ。
仲間に「無理すんなよ」と言われるが、
一番自分の限界を壊したいのは、自分だ。
登ることが自己表現である限り、
君は登りながら壊れていく。それでも美しい登りにこだわる限りは。
中毒度:★★★★★(限界突破型)
処方箋:
壊れたら終わりじゃない。壊れる前にしかできない登りがある。
だけど、一度くらい、ちゃんと休め。
動画の妖精

――「動画を観てると、自分も強くなった気がする」
診断結果テキスト:
スマホの画面が、君のジム。
昼休みはウィルボッシ。夜はジミーウェブ。
クライミングの知識は世界レベル。でも、登っていない。
仲間にムーブを解説しながら、自分はトライしない。
動画を観てると、自分もその一部になった気がしてくる。
それで十分だった――はずなのに、
時々、何も登っていない自分に苛立ってしまう。
「いつかは登る」
そう言い続けて、もう1年。
スマホの中でだけ、君は最強だ。
中毒度:★★★☆☆(理論先行型)
処方箋:
再生ボタンを止めろ。そして、登れ。その一手だけで、すべてが変わるかもしれない。