見えないムーブを掴む──“身体感覚ログ”で再現率を爆上げする
「登れた理由が分からないあなたへ」シリーズ第2弾。
今回は“身体感覚をログ化”して、さらに深いレベルでムーブを再現する方法を掘り下げます。
目次
導入:感覚を言葉にできるか
ホールドは取れた。でも次のトライでは取れない。
“ムーブそのもの”は覚えたつもりなのに再現できないのは、
身体感覚が言語化されていないからです。
■ 身体感覚ログとは?
「手順+位置」だけでなく、筋肉・骨格・圧・温度・リズムといった内側の感覚を記録したメモ。それが身体感覚ログです。
- 例1:右前腕が“膨らむ前”に左足へ荷重が移動
- 例2:核心前に3拍吸って2拍吐くと心拍が安定
- 例3:ヒールを掛けた瞬間、内転筋がストレッチされる感覚
■ “五感+内臓”テンプレで書く
項目 | チェック例 |
---|---|
視覚 | ホールドエッジが“1mm広く”見えた/ライトが眩しい |
聴覚 | 呼吸音が大きいときは体幹が抜けやすい |
触覚 | ガバが湿って感じた→滑り対策 |
内圧 | 前腕パンプ指数:10段階で4 |
リズム | スタート〜核心まで6拍で到達すると安定 |
■ 実践ルーティン:3分×3フェーズ
- 映像リプレイ(3分)
自分の動画を見て、身体の「止まる/流れる」瞬間を書き出す。 - 五感リカップ(3分)
核心ムーブを思い出しながらテンプレ表を埋める。 - 1行マニフェスト(3分)
次回トライで最も大切にする感覚を一句で宣言する。
例:「背骨で“押す息”だけ守る」
■ クライマーの“感覚ログ”実例
- 「左中指の“熱さ”がゼロになった瞬間、出力はMAXになる」
- 「右膝が壁に触れる“冷たさ”でコアがONになる」
- 「背中の皮膚が“紙一枚めくれる感覚”になるとフックが決まる」
■ 異競技スーパースターの“感覚”ログ術
- ノバク・ジョコビッチ(テニス):「呼吸の音量をメトロノーム代わりにテンポを決める」
- シモーネ・バイルズ(体操):「床との反発“音”が一定かを耳で計測」
- マイケル・ジョーダン(バスケ):「シュート時、指先が“ネットの揺れ”をイメージ通りに感じるまで撃つ」
まとめ
再現できないのは“動き”ではなく“感覚”を記録していないから。
今日登ったばかりのムーブを、温度や音まで含め9分で書き残してみてください。
次のトライで「身体が勝手に合わせに行く」体験が待っています。
あわせて読みたい


登れた理由が分からないあなたへ─言語化という“リトライの武器
◽️誰もが経験する“謎の成功と失敗” クライミングで「えっ、今なぜ登れたの?」「昨日はあんなに簡単だったのに、今日は同じ動きをして落ちた…」そんな “…