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「岩のそばで、生きていく。」クライマーの移住を考える
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海も山も岩もある
「岩はある。でも人がいない。だからこそ、いい。」
高知県。南国の風が吹き、透き通る川が流れ、そして硬くて乾いた岩が、静かにクライマーを待っている。
四国の中でもひときわ“秘境感”のあるこの地に、住むという選択肢はあるのか?
結論から言えば、「登りたい」を中心に暮らしを組み立てたいクライマーにとって、高知は十分リアルな選択肢だ。
本記事では、土佐町・本山町・いの町などを中心とした高知クライミング圏への移住を、ライフステージ別に詳しく掘り下げていく。
目次
ライフステージ別・高知移住の現実と魅力
◆ 単身クライマー(20〜40代前半)
▷ 岩との距離
- 日ノ御子ボルダー(香美市):巨大な石灰岩が点在し、多くの愛好家が訪れる高知きっての人気スポットとなっている。
- 黒潮ボルダー(高知市春野町):海岸沿いのボルダリングエリアで、クライマー達の心をくすぐるような大きな岩が多数点在している。
- 加領郷ボルダー(安芸郡奈半利町):海岸沿いに位置するボルダリングスポットで、ソロでも安全度の高い課題がある。
▷ 暮らし
- 土佐町・本山町・いの町などに住めば、自然と岩に囲まれた静かな生活が可能。
- 車さえあれば、生活には困らない。が、完全な“車社会”。
▷ 家賃・生活費
- 空き家:月2〜4万円(格安物件多数)。買い取りも100〜300万円台がゴロゴロ。
- 水道代・光熱費も安く、生活コストは本州より1〜2割低い。
▷ 仕事
- 農業・林業・地域起業支援が活発。観光/建設/福祉系も需要あり。
- 地域おこし協力隊(3年間・給与あり)の募集も多く、移住支援の手段として◎。
- リモートワークにはインフラ格差あり。事前確認必須。
▷ 懸念点
- クライミング仲間は見つけにくい。孤独耐性が必要。
- 台風・大雨による道路寸断・岩場封鎖リスク。
◆ パートナーと2人暮らし
▷ 暮らしの魅力
- 川沿いの古民家、山裾の平屋。空き家を改装して住む文化が強い。
- 暮らしと登りとDIYと。創造的な時間が流れる土地。
▷ 地域との関わり
- 地域行事は多め。消防団や神社清掃、田んぼの手伝いもあるが、参加すれば受け入れられやすい。
- 若い移住者には好意的。
▷ 住まい
- 広くて安い。庭付き・納屋付き物件が標準。
- 冷暖房・ネット・断熱などの快適化は必要。
▷ 懸念点
- 病院・大型スーパーなどは車で30〜60分。
- 高知市に出るには1時間半。車2台体制が理想。
◆ 子育て世帯
▷ 子育て環境
- 自然保育・森のようちえん的な園あり。
- 小中学校は小規模で、先生との距離が近い。
- 川遊び、山歩き、虫捕りが“日常の遊び”に。
▷ 教育と支援
- 高知県は子育て支援に積極的。保育料減免、医療費補助あり。
- 地域によっては移住者向け住宅手当・就学支援あり。
▷ 懸念点
- 高校進学で高知市へ通学 or 下宿が現実的。
- 塾・私学・選択肢はかなり限られる。
◆ 50代〜リタイア世代
▷ 暮らしのスタイル
- 朝に薪を割り、昼は畑で汗を流し、夕方は岩を見上げる。
- 本当の意味で「自分の時間」が手に入る場所。
▷ 地域との共生
- 高齢移住者も増えており、野菜のやり取りや地元イベントなどで緩やかに馴染める。
- 人口減少の中、若干名の移住者は大歓迎されることも多い。
▷ 医療・買い物
- 通院は不便(病院まで30〜60分)。
- 車が運転できなくなったときの生活設計は要検討。
🔍 クライマー移住者向けのポイント
- 高知市:都市機能が充実しており、生活の利便性が高い。高知の中では家賃は高め
- 南国市・いの町:高知市へのアクセスが良好で、自然環境も豊か。家賃も比較的安価で、バランスの取れた生活が可能。
- 土佐市・香美市・香南市:自然に囲まれた静かな環境で、クライミングスポットへのアクセスも良好。家賃もリーズナブル。
- 高岡郡・四万十市:家賃が非常に安価で、自然環境が豊か。クライミングを中心とした生活を求める方に最適。
結論:「登るために暮らす」なら、ここまで振り切れる
高知は“過疎”と“可能性”が隣り合わせの土地だ。
都市生活の便利さはない。だけど、そのぶん、登ることに集中できる時間がある。
自分で火を起こして、野菜を育てて、必要なものはDIYする。
そんな暮らしが、岩のすぐそばにある。
登るという行為が、生活に溶け込んでいる。
それが、高知のクライマー移住のかたちだ。
都市の便利さを手放してでも、岩と暮らす価値を選びたい人にとって、
ここはたしかに「最前線」だ。
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