これだからクライマーは嫌われる、なんて言われたくないあなたへ
——外岩に行く前に読んでほしい、10の心得——
外岩に行ってみたい。ジムで登るだけじゃ物足りなくなってきた。
自然の中で、本物の岩に触れてみたい。そんな気持ち、とても素敵です。
でもちょっと待ってください。
岩場は「登りたい人が集まる場所」ではありません。
そこは、自然のど真ん中であり、地域の暮らしのすぐそばであり、
そして長い時間をかけて守られてきた場所でもあります。
登りに行くということは、そこに「お邪魔させてもらう」こと。
だからこそ、最初に知っておいてほしい、外岩での10の大切な心構えをお届けします。
① 駐車場は、最初に登る“課題”です
車を停めた瞬間から、外岩は始まっています。
大きな声ではしゃがない。狭い場所を占領しない。
「ここに停めていいか分からないな…」と思ったら、別の場所を探す勇気を持ちましょう。
② 挨拶は“完登より大切な一手”です
知らない人にも「こんにちは」と言ってみましょう。
ちょっと勇気がいるけど、それだけで空気は変わります。
みんなで同じ空間をシェアして登っているからこそ、まずは人として気持ちよく。
③ 音は、静けさの中にあります
自然の音って、すごく豊かです。
鳥の声、風の音、岩に触れるチョークの音。
そこに大音量の音楽や大声が混じってしまったら、もったいない。
「ここはジムじゃない」ことを思い出しましょう。
④ チョークは“落書き”じゃない
登ったあとのホールドに白く残るチョーク跡。
実は、けっこう目立ちます。次の人のためにも、ブラシでサッと落として帰りましょう。
「ちゃんと登って、ちゃんと消す」ことが、本当にかっこいい登りです。
⑤ 登ってない時にこそ、人柄が出ます
順番を守る、譲る、応援する、静かに見守る。
そして、**「マットを借りる時には必ず一言“お借りします”**と伝える。
登ってない時間にも、クライマーとしてのマナーがにじみ出ます。
⑥ 登れたら“終わり”じゃありません
完登の喜びは最高。でも、そこで終わりじゃありません。
岩の状態は? ゴミはない? 自分の痕跡は残っていない?
登り終わった後の行動が、本当の“完登”かもしれません。
⑦ 動画を撮る前に、まわりも見てみよう
映像の中には、自分以外の「風景」も映っています。
ゴミ、チョーク、誰かの悲鳴。
SNSに載せる前に、「この場所をちゃんと大事にできてるかな?」と振り返ってみましょう。
⑧ 岩陰に“置いていい”のは荷物だけ
岩陰=トイレ、ではありません。
ティッシュひとつ落ちているだけで、そのエリア全体が使えなくなることもあります。
どうしてもトイレが必要な場合は、携帯トイレを用意するのがベストです。
⑨ 岩は“みんなのもの”だけど、“好き放題していい”わけじゃない
その岩には、誰かが何年もかけてトライし、整備し、紹介してきた歴史があります。
その努力と時間を想像できる人が、外岩で信頼されていく人です。
⑩ 「クライマー」以前に「大人」であろう
登れるかどうかより、そこに立つ資格があるかどうか。
未来のクライマーが登れる岩場を残せるかどうか。
SNSの「いいね」より、地元の人からの「また来ていいよ」のほうが、ずっと嬉しい。
最後に。
岩場での行動は、あなたの“登り”と同じくらい見られています。
自然と人と岩に敬意を払いながら、気持ちよく登っていきましょう。
この心得が、初めての岩場での一日を、忘れられない一日に変えてくれるはずです。